第57章 新春来風の先
弱くていいのは貴方だから、
貴方がいたから弱くてもよかったのに…。
いつまで、こうして、ここで、
私は私を偽って生きて行けばいい?
私はもう自由を知っているのに…。
『お前の思うようにしろ。
自由な心でしたいと思う事をしてくれたら、悦ぶかな』
慈愛の顔色でそう言ってくれた政宗を思い出す。
澄んだ蒼い瞳が綺麗に輝いて、
私を見て笑っていた。
(ダメ…泣きそう…)
私の心の中はずっと雨。
ここに居ては止まない。
貴方が居なければ晴れない。
私の中には、涙が雨のように溜まって、
水溜りどころか湖になって、
私はその底に沈んでいる。
(息が出来ない…浮上出来ないよ……
…政宗……)