第56章 苦しみの先
何処にいても、何をしてても、
何を見てもお前を思い出す位に、
当たり前に、俺の側に瑠璃がいた。
そして、いなくなった事を痛感する。
(あの日、1年を振り返ったりしたからか?)
月を見上げながら考える。
『夜考えると、悪い方に考えてしまいませんか』
瑠璃の言葉を思い出して、
考えるのをやめて褥に入る。
独りで寝るのも随分慣れたが、
寒い日は、人肌恋しくなる時もある。
(お前を抱きしめて眠りたい……
…必ず戻ってくるんだよな……。
早く…戻って来いよ……)
寂し過ぎると心が揺れる。
波立って、そのうちその波に飲まれて
海底へ引きづり込まれる。
疑心暗鬼は鬼を呼ぶ。