第10章 睦月の旅路(R18)
重なった唇から漏れる吐息と水音。
舌が絡まっては離れ、追われては追いかける。
童子(こども)が悪戯をやってはやり返すように、お互いの舌で遊んでいるかのように絡め合う。
政宗から与えられる甘い口付けは、瑠璃の身体からゆっくりと思考能力と力を奪ってゆく。
「ま…さ………ね…。わた、し、お風呂…」
どうでもよくなりそうな思考の中で何とか絞り出す言葉。
「風呂?
ああ、湯浴みか。
…確かに、俺もお前も埃っぽいな」
そう言いながら、瑠璃の袴の帯を解き始める。
「後で、ちゃーんと連れてってやるよ。
まずは、この埃っぽい着物を脱ぐのが先だ」
獲物を美味しそうに見ているように、目を細めて笑う政宗。
その眼に捉えられた瑠璃
(喰べられる…)
と、思うと、ドクン と身体が疼くのを感じた。
その身体の疼きに独り、顔に紅葉を散らしたまま、潤む瞳で政宗を見つめた。
潤んだ瞳が熱を孕んでいるのに、
口を開けば「嫌だ」と言いそうな唇。
何度交わっても、いつまでも乙女のようで、
恥ずかしげにそむけるられる顔。
理性を剥ぎ取るまでに時間がかかるが、
剥がれた後の瑠璃は、俺に弄ばれるほど狂う美獣の様だ。
その懸隔(けんかく)さに、劣情はどうしようもないほど抑えきれなくなる。