第54章 それぞれの流光
お前なしでは生きる意味がない。
死んでもいいから、お前に逢いたい。
そう思うのに
「…死ねないもんだな…
お前が居ないこの世なら、死んだほうがマシだと、こんなにも思っているのに…」
苦笑いで自嘲する。
(瑠璃が救ってくれた命だから…)
瑠璃がいなくなって、もう何度か、
安土周辺の小競り合いを収拾に出ていたが、
鬱憤を晴らすように刀を振るえば、
死をも払うほどに刀が切れた。
そこに敵がいれば、死にたくとも生きようと戦う。
(虚しくも、悲しいサガ(性分)だ…)
大きなため息が出た。
ここ長らく、清々しい朝でも、
鍛錬で汗を流しても、爽やかな気分になれたことがなかった。
ため息しか出てこなかった。