第54章 それぞれの流光
朝日にキラキラと、昇ったばかりの太陽よりも輝く笑顔で、心底楽しそうに、
空を、平原を、山を観て感じていた。
全身で楽しんで馬を駆っていた。
(今でも覚えてる。
出会ってから間もない頃で、1番 生き生きとした素の笑顔を)
「…俺は、どこで、いつまで、待ってりゃいいんだ」
馬を止めた政宗は、手綱を握った手に力を込め、
新緑の平原で空を見上げた。
『生きぬれど 今 いみなくし すさぶなら
身を失くしても 逢むとぞ思ふ』政宗
朝の空気にさえ、溶けて消えてしまいそうな
小さな声で詠み出された政宗の心。
生きていても今は生きる意味も無(失)くし、
荒んだ心と生活ならば、
身を失くしても(死んでも)いいから、
貴方に逢いたいものだ。