第54章 それぞれの流光
ー政宗の流れー
瑠璃が消えて、もう どれくらいか。
戦国の世は、冬が往き春が来た。
2年前、瑠璃が政宗を救った戦の頃と同じ季節になっていた。
朝の冷たい空気を切って、政宗はひとり、遠乗りに出掛けた。
初めて光秀と瑠璃と朝駆けに出掛けた日、沢山のことを思った。
外に出ようとする瑠璃は意外と強引だなと思った。
男を知らないから、童女同、なんの気無しに普通に手を繋げて来た事にも困惑した。
おっとりと涼やかな女らしい瑠璃が馬に乗れるのにも驚いた。
光秀が先約だったとこに面白くないと思った。
(あれ、ヤキモチだったんだな…くくっ)