第53章 君想ひ影探す
素直に甘えられない、甘え下手な私を、
政宗はいつも、上手(スマート)に甘やかしてくれた。
『いつも疲れてればいいのにー…
…ん?可愛いから』
紡ぎ出される言葉はいつも、飾りっ気がなくて、明け透けなほどストレートな政宗。
それは、生き方も同じ。
初めて戦場で見た時。
敵兵に囲まれ、絶体絶命。
片腕は引いて使わない。
いや、使えない。
怪我をしてるんだと思った。
それでも、怯まない、負けない気を放って、
あの状況でも、生き生きとして見えた。
戦を、生きている、という事を楽しんでいた。
死と背中合わせだからこそ、
生きる事を全力で楽しんでいた。