第53章 君想ひ影探す
そして、単純明快だった。
私を城に置いても、
試したり、陰険な話術で、カマをかけてきたりはしなかった。
それどころか、気になった事は、
面食らうほど サラッと直接尋ねてきた。
軽々と塀を飛び越えるみたいに、
何の策も計画もなしに、懐に飛び込んできた。
明け透けで堂々と単刀直入。
悪く言えば、無遠慮にズケズケと踏み込んで来る。
でも、どこか配慮を持って。
不思議な魅力のある人だと思った。
私の気にしている事、
触れられたくない事をズケズケと聞いてきたくせに、
それをいつも、気遣ってくれた。