第53章 君想ひ影探す
恋仲になり身体を繋げ、距離が近づいても、
平素はすました顔で、適切な距離を取り、
俺を立てつつ、役に立っていてくれた。
戦から戻り、泉殿で酷くした時を思い出した。
(俺を理解し、癒し、ちゃんと照らしていてくれた)
今、その月は俺を照らさない。
(これからもずっと月は出ないのか?)
湯治に行き、一緒に月を眺めた。
夜、月が輝いていなければ、
闇夜で道に迷い、足を踏み外すこともある。
(闇夜に月がなくてどうするんだ…瑠璃)
照月を抱いて月を見上げていた。
俺は独り、
自分の左肩に掛かる重みを想い、
探しながら…ーー。