第10章 睦月の旅路(R18)
夕刻、小さな旅籠屋に着き、質素な夕餉を済ませた。
「疲れたか?」
政宗は手を引き、瑠璃を膝の上に乗せる。
「いいえ、今日はまだ、出発初日ですし…」
すっぽりと政宗の膝の内に納まった瑠璃は、恥ずかしそうにしながら答える。
「私がこの格好で付いて行くと言ったのですから、初日から疲れたとは言ってられません」
(真面目と言うか……
意外と負けず嫌いなんだよな、コイツ)
クククと笑うと
「初めての旅だ、疲れたって言って良いんだぞ。
そしたら、お前を甘やかす理由が出来る」
どうだ?と言わんばかりに瑠璃の瞳を覗き込む。
「じゃぁー…まだ 言いませんっ」
ふいっと横向く瑠璃。
その首筋に政宗は顔を埋める。
まだ湯浴みに行っていないその肌からは、土っぽい匂いがした。
「そう言う、可愛くないこと言うヤツは、可愛くゴメンナサイって言うまで苛めてやる」
そう宣言すると、首筋をチロッと舐めた。
「やっ、政宗、くすぐったいっっ」
擽ったさに瑠璃は身を捩る。
「ん、んっ、政宗ぇ、私、本当にまだ、疲れてないよぉ」
政宗が与えてくる快感から逃れようと、必死に言葉を紡ぐ。