第10章 睦月の旅路(R18)
並んで馬に乗るのは美しい黒髪の小姓姿の瑠璃。袴を履き男装をしていても美しいと言う形容詞は外せない。
政宗がその端麗な横顔を見ていると、
それに気付いた瑠璃が、政宗をみて微笑む。
陶磁器のような白く滑らかな肌。
すっと筋の通った高い鼻。
クルっと丸い切れ長の銀鼠色の目。
桃色の唇の形も申し分ない。
凛々しい美少年に見える。
(本当、男ならさぞ、美男だろうな)
考えながら、三成を思い出す。
(いや、コイツの兄上は光秀似だ。
なら、瑠璃が男なら光秀な感じか?)
色々と想像していると、疲れていると思ったのか、
「政宗、大丈夫?
ずっと忙しくてあまり眠れていないでしょう」
瑠璃がそう声を掛けてくれた。
「そうだな、お前を抱き枕にしてなかったからなー。
早く宿に着くよう駆けるかっ」
ニカッと笑うや否や馬の腹をける。
「へっ?えっ?疲れてるんじゃ…
あっ!政宗っっ‼︎」
慌てて瑠璃が追ってくる。
(なかなか退屈しない旅になりそうだ)
政宗の唇には嬉しそうな笑みが浮かんでいた。