第52章 隔世遼遥
「ねぇ、瑠璃さ「うるせぇ‼︎」」
限界だった。
突然上がった癇声に、美弥がビクッと肩を竦めた。
「瑠璃、瑠璃、うるせぇんだよっ!」
「ま、まさ……」
「瑠璃が何処でどうしてるかなんて、
俺が聞きたいんだよっ‼︎」
「…え…」
言葉を続けられない美弥をその場に残して、
政宗は歩き出した。
(…クッソっつ💢)
しつこく問ってくる美弥への苛立ち。
突然消え、何処にいるかも判らない瑠璃への苛立ち。
どうすることも出来ないでいる自分への苛立ち。
そして、悲しさ寂しさ、心の痛み、
全てが滞積し、混迷とする。
(瑠璃っ…俺を残してっ…)
何も手につかない。
※癇声…感情に任せ激しく怒る声。
※滞積…胸にふさがり積もった思い。
※混迷…混じり合ってわからなくなる。