第10章 睦月の旅路(R18)
その為、瑠璃が後から来る事も、
籠に乗って行く事も叶わない日程になった。
瑠璃が必要な物を持って来るどころか、
それほど用意も出来なかった。
馬に乗せているのは旅での必要最低限の物だけだ。
瑠璃が信長に謁見する為の衣装は、
本当のところ、奥州の最高級品を揃えてやりたいと思っていた。
が、持って行けないので、安土で用意することにして、文を出してあった。
急ぐ旅の為供の者も付けない。多勢いれば、政宗が駆けたい時に駆けれないからだ。
だから全部後にし、一緒にに行くのは瑠璃だけだった。
(瑠璃には礼を言うべきか、謝るべきか…)
考えあぐねる。
初めての旅がかなりの長旅で、しかも季節は冬。
供も連れず、慣れないのに、自ら馬を進めなければならない。
旅に慣れていたとしても、女には酷だ。