第52章 隔世遼遥
涙の止まらない私の手を引いて、
庭園内のベンチへ腰を下させた友人。
「何かあったの?」
「…大切な人が…いなく…なった…」
「彼氏と別れたの?」
「違う…いなく、なった…」
そうとしか言えず、そうとだけ言った私に、
「少し、待ってみよう。また、会えるよ。
そう信じてさ」
握った手に更に手を重ねて。
強く柔らかな目で、私に笑いかけて来た。
「…信じて…待つ…」
私は、友人のそ言葉に涙を止めた。
私は、友人のその目に何かを想った。
『ちゃんと帰ってくる。信じて待ってろ』
戦に出る前、そう言って笑いかけくれた政宗と重なった。