第52章 隔世遼遥
「政宗様、お一人でございますか?
瑠璃様とは入れ違いになったんですかね」
御殿に戻った俺に女中が首を傾げて言った。
この言葉にもまた、門番と同じく、
瑠璃が俺を迎えに城へ向かい、
そして、俺の目の前まで来ていたことを表していた。
けれど、
やはり、御殿にも瑠璃の姿はなかった。
いつも考え事をしている渡橋にも、
泉殿にも、自室、俺の部屋、何処にも居ない。
(…消えた…何処へ…)
思い当たる処はひとつしかない。
(500年後の瑠璃の時代へーー…)
戻された。
もう、そうとしか考えられなかった。
「くっ…」
(瑠璃っ)
どうにかなりそうな気持ちで、拳を握り締めた。