第47章 (終章) 煙の消えた後
数日後
「瑠璃様、曼珠沙華ですね。
誰がお持ちになられたんですか?」
縁側に座った瑠璃が、一輪の曼珠沙華の花を持って、クルクルと回して手遊びをしていた。
「お夕。
コレはね、死人花 って言うのよ」
赤い赤い、血のように赤い曼珠沙華。
天界に咲く花 の意味を持つ。
「コレは、天界には咲けない曼珠沙華なの。
だから、死人花 なのよ」
冴えて刺すような眼で、手元の花を見る。
(地獄へ行く者に、手向の花なんて必要ない)
花を持つ手に力が入り、茎がポキッと音を立てて折れて、
花の頭が地に落ちた。