第47章 (終章) 煙の消えた後
「ねぇ、光秀様。
お見舞いにお花を頂きたいわ。
白がええやろか…赤くてもええかなぁ。
どう思わはれます?」
ウフフフ…と口角をあげ首を傾げるも、
銀鼠色の瞳は笑っていない。
(焦灼*しながら苛刻*な言葉を口にするのだな)
光秀には瑠璃か「頂きたい」という物が解った。
何故なら、最初からそのつもりで瑠璃の意見を聞きにきたのだから。
(政宗、私は生温くなんかないよ…そう…)
「峻秀剋薄*だな」
光秀のその評価に満足そうに笑った。
「お前には白より赤が似合う。
真っ赤に染まった花を用意してやろう」
「どうだ?」と光秀が目で問い返す。
「ほな、それ お願いします」
童子が遊びを決める様に、可愛らしく、
パンッ と手を合わせて光秀に笑いかけた。
※焦灼…心が甚だしく憂え苦しむ。
※苛刻…きびしく酷い。
※峻秀剋薄…秀れた人物ほど むごく不人情であること。