第47章 (終章) 煙の消えた後
「…抱きしめて 大丈夫か?怖くないか?」
(まさむね……)
蒼い瞳が気遣って柔らかく、心配そうに窺っている。
その気遣いに瑠璃の胸が温かくて切なくなる。
(嬉しい…)
「大丈夫です。…だって、政宗だもん」
一応 確認をした政宗に、頬を桃色に染めた瑠璃が、政宗も驚くほど嬌羞して甘笑した。
(むしろ、抱きしめて欲しい。政宗に)
消したかった。
監禁され、暴行されていた時の事。
あの場所も、あの人達の様子も。
そして、乱暴にされた事も。
一瞬だけでも、忘れたかった。
その温もりで、
忘れさせて欲しかった。
※嬌羞…愛らしく恥じる。