第47章 (終章) 煙の消えた後
(あれくらいの事、何も無かったって事にしてやるよ)
家康が、瑠璃を、心から心配していることは解っている。
瑠璃に惹かれている事も。
家康が瑠璃に惹かれる理由は、
多分、瑠璃も言っていた事だ。
『似てるから、分かり易いんです』
ちょっと捻くれてて、それは心に傷があるからで、無関心を装って、人との距離をとっているけれど、
本当は構って欲しくて、素直になりたくてなれない。
だから、放って置ないって思ってるんだろ。
お互いに。
そして、俺も。
(人ってのは、厄介な生き物だよな)
もう、行ってしまった家康の、
怒ったようで照れを隠す様な顔を
思い出して、苦笑いを溢した。