第47章 (終章) 煙の消えた後
帰り際、玄関先で
「政宗さん……あの…」
「別にいいさ、気にしてねぇよ。
で、瑠璃の様子はどうだった?」
「色々 我慢してるみたいてす。
監禁中 身に起こった事も覚えてて、
身体より、心の方が心配です。
政宗さん、よろしくお願いします」
「分かった。
朝っぱらから悪かったな」
爽やかにそう言われて、家康は、
またちょっと、政宗から目を逸らした。
「…いいえ…俺は、これで……」
お互い、気配に気付いていた。
外に政宗が居たこと。
瑠璃が泣いて、それを家康が慰めていた事。
けれど、お互い、瑠璃を心配していたから、
何も 無かったことにする。