第47章 (終章) 煙の消えた後
瑠璃が項垂れて、肩を震わせている。
(泣いてる…あの瑠璃が…)
俺は膝を滑らせ側に寄ると、
脱がれている着物を背中から肩にかけ直した。
身体が冷えるから着物を掛けてやる、
ただそれだけのつもりだった。
けれど……
「…っくぅっ…ぅっ……ぅぅぅぅ〜…」
声を、嗚咽を我慢して、肩だけで泣いている。
そんな瑠璃はとても弱く見える。
そして、とても辛くて、悲しくて寂しくて、酷く痛々しくて。
俺は、見ていられなくて、声を押し殺し泣く瑠璃を、横からそっと抱きしめた。
(瑠璃……)
堪えているのか、泣いているのか、
俺の腕に額を押し付けて、肩を震わせる。
その肩を、俺は、黙って優しく摩ってやった。
(…君の心が痛んで、涙が溢れるんだよ…)