第47章 (終章) 煙の消えた後
手鏡に映る自分のデコルテは傷だらけで、
首には治りかけの締められた痕が、
薄っすらと有る。
「何回も 首を絞められた……」
親指で痕を摩りながら思い出す。
「あの蛙…」
「蛙?」
家康は瑠璃が小泉を蛙男と呼んでいたのを、勿論 知らない。
「あぁ、あの男、蛙みたいな顔でしたでしょ?」
クク…ふふふ…
小馬鹿にしたような嘲顔を、手鏡に映す。
「……美人は嫌いやゆうて、顔 ひどぉ殴って行きよった…それに、よぉ切れん刀を突き立てて……」
肩の関節部の傷を見てから、手鏡を動かし、
反映された背中の様子を見れば
「これはー…痛いはずやわ……」
背骨、肩甲骨の周り、背中全体が
青痣とミミズ腫れの傷だらけ。