第47章 (終章) 煙の消えた後
少しして
「……家康様…」「…何…」
「…私の身体…」「…うん…」
「…見せて、もらえますか?」
訥々(とつとつ)と瑠璃が口を開いた。
「見るの?」
(見てどうする……辛くなるだけなのに…)
憂迫*としたが、家康は努めて冷淡と接する。
「本当に、見ていいの?」
「はい」
瑠璃が布団を握って視線を落としたまま、硬い声で返事をした。
「…冷暖自知*(れいだん自ら知る)
ってとこ?……そうだね…分かった」
※憂迫…うれいに胸がせまる。
※冷暖自知…水の冷たさ、暖かさは飲む者自身が知る。自分の事は自分だけが知る、の意。