第47章 (終章) 煙の消えた後
俺の名を呼んだ。
そして、眉をハの字にしてちょっと困ったように微笑した。
瑠璃の瞳が俺を映している。
嬉しくて、思いっきり抱きしめたかったが、
満身創痍である事を考慮して、
包むように優しく、瑠璃の身体に腕を回した。
「…瑠璃…」
そっと口付ける。
「探したぞ」
意思のある虚ろわない銀鼠色の瞳。
「…まさむね…遅かったですね…
死ぬかと思いましたよ」
瞳は揺れながらも俺を真っ直ぐ見て、
少し掠れた声を空気に乗せるように、
言葉を発して、微笑みを浮かべ続けている。
(…戻って来た……)
「もう…会えないかと思ったんですけどね」
「冗談がキツイな」
クスッ と笑って、いつもの瑠璃らしい
澄まして小憎ったらしい会話の仕方にホッとした。