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《イケメン戦国》未来から来たお姫様

第8章 神無月の決断




「でも今は、帰りたいとは思えません。
家のしがらみも無く、私を縛っていた母も居ない。
離れてみて、母の事を忌み嫌い、私の中から無くしてしまいたい、と思っている事に気付きました。
酷い娘ですよね。
政宗、いつか見たでしょう、鏡の中の私を」
苦笑しながら首を傾げて政宗を見る。

こんな時でも瑠璃は自分のためには
涙を見せない。

(やっぱり全部は見せないのか……)

垣間見えた瑠璃の心の闇。

心を開かないで闇を抱えて行くのかと思うと
政宗は悲しみと少しの苛立ち、
そしてやるせなさを感じた。

「兄様達に会えないのは寂しいですけど、
あの家にはもう帰りたいとは思いません。
あんな家よりここの人達の方が温かい」
と言って、高く青く晴れた空を見上げる。

(あんな家、か…
あんな って言える位には…)

実家から心が離れていたのか
心の整理が出来たのか…。

瑠璃の結論だった。
それから、政宗をみて言う。

「それに、ここには政宗も居るし。
このお城の人達だって家族みたいですから」

一点の曇りもないない瞳で。
清々しく抜けるような
この秋の青空みたいに澄んだ瞳で。

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