第45章 煙に隠れた人探し
信長は厳しい顔で、目の前に土下座している男を見ていた。
「…利家、貴様は何をしておる!
武家大名の監視もロクに出来ぬのか」
「申し訳ございません!」
畳に額を擦り付けて土下座をしているのは、
越前を任されている前田利家だ。
「謝罪はいらん。面を上げ、これを見ろ」
バサッ と髪の束を利家に投げる。
「そこの男が不正に出していた船港使用権、の偽物だ」
「偽物…」
ある船商家から押収した権利書は殆どが偽物だった。
「商人から金を受け取り、勝手に偽物を出し、
私利を肥し、上には偽数を報告しておった」
そこの男、下間氏。
と、数十軒の船商家の主人がグルグルに縛られ、
並んで座らされている。