第44章 煙に霞む屋敷廓
「この光景に気分でも悪くなったか?」
青ざめた顔をしている瑠璃に、
クククっと可笑しそうに男が笑う。
(香に混じってた 煙い匂いって……)
口を塞いだのは気分が悪くなったからではい。
現在の日本では禁止されている薬物の類だろうと考えたからだ。
(この時代ならアヘン?…麻薬?…
…覚醒剤は、無い、よね…)
「まさか……」
「そうだ。あれが数刻後のお前の姿だ。
ああして、飼い慣らして、いたぶってやろうと思ってなぁ」
汚い笑みを深める男。
「この人達、どうするつもり?
売るの?廓に出すの?」
何故か冷静さが保てない。
(人を物みたいにっ、ひどい…)
沸々と怒りが湧いてくる。