第44章 煙に霞む屋敷廓
瑠璃が屋敷の正体を目にしていた時、
安土城では政宗達が出発しようとしていた。
美弥が眉をハの字に下げて政宗を見た。
「ちゃんと連れ帰るから、そんな心配そうな顔すんな」
政宗が美弥の頭にポンポンと手を置く。
(政宗の方が不安そうだよ…あ…!)
「うんっ、絶対、無事に連れて帰ってね!」
「…急に明るく振舞い始めるなんて。
わざとらしいね。
…なんなのさ」
家康が変なものでも見るような眼をした。
「不安は伝染するんだって…。
大丈夫だって、信じて待たないとダメだって言われたこと、思い出した。
不安にさせてゴメンね、政宗」
美弥が謝って政宗に笑いかける。