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《イケメン戦国》未来から来たお姫様

第2章 女神の正体




温かい粥が胃まで到達すると
五臓六腑に染み渡るとはこの事なのだろう。

生きている、と感じた。

死んでいった人を想った。

だから、それ以上の言葉は今はなかった。
涙が溢れて顔が上げられなかった。


そんな瑠璃を静かに見守りながら、
政宗も食事をした。


食事を済ませ、瑠璃をもう一度床に就かせると
政宗は政務の為自室に戻っていた。

「殿、戦場で拾って来た女子(おなご)はどうでしたか」
傳役、片腕である小十郎が、硬い表情で尋ねる。
「瑠璃だ」
「は?」
「女子(おなご)の名は瑠璃だ」
政宗は、何かを考えながらそう答える。
「はぁ、左様でございますか。
…で、他には」

無言の政宗に対して、小十郎はなんとも言えない表情をする。
「殿、どうするおつもりです?
何処の者とも判らず、敵かもしれない女子では
ないのですか?」
疑い。
「それは無い。敵ではない。
今は、味方でもない。
瑠璃は当分、ここに置く」
「置かれるのですか⁉︎なんの役にも立たない
女子をですか」
小十郎は不本意で、反対だと意見する。
「小十郎、そう言うな。
お前、薄情だなぁ。
瑠璃は俺を救った。
この地で、今、頼る者は誰もいない。
行く処もない。
役に立たないかもしれないが、
戦の火種にもならん。
だから、お前は心配するな」
小十郎が老婆心から得体の知れない女を
此処に置く事を渋っている事位、お見通しだった。

「分かったら下がれ」
「……はっ」
「それから、菊乃を付けるから、お前は見張る
必要はないぞ」
と、付け足して小十郎を部屋から追い出す。

立ち上がり、縁側に出て外を眺めながら、
今朝の瑠璃を改めて思い出していた。




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