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テニ夢企画用

第1章 【見えない角度で手を握り締め】財前光


白石先輩が【友人名前】ちゃんを宥めようと話しかけると、彼女は先輩たちに校庭の方を見いと言わんばかりに指を指した。
勿論その指先の方角は財前くんたちのいた方や。
【友人名前】ちゃんの剣幕に押されて先輩たちは彼女の指差す方を見る為に柵の方へと慌てて向かう。
そして何を言いたいのか2人はすぐさまに察したようで忍足先輩なんかは『何しとるん財前』と思った言葉がそのまま口から出とった。

「ここ数日の財前くん酷いんですよ!【夢主名前】の事ほっといてるくせに自分はあないな風にしてて!」
「あ、あのね、多分何か事情あると思うんだ。せやから落ち着いて?ね?」

私が必死に【友人名前】ちゃんを宥めとると白石先輩が私達の方に来てくれて足元に散らばっとるお弁当とかを拾ってくれる。
私は先程のやり取りで自分のお弁当を片付けておらず、また小競り合いでお弁当を蹴飛ばしてもうとった事に気付いて慌てて一緒に片付けた。

「ごめんなさい、手を煩わせてしまって」
「気にせんといて。それより財前となんかあったん?さっきの以外で…何や財前の様子がここ数日おかしい様に感じしててな」

私に気ぃ遣わせへんようにと配慮して聞いてくれる白石先輩の優しさが眩しくて私は息を呑む。

「その…この間、私とっさに上手いこと言えなくて怒らせちゃったみたいで……」

それぐらいしか心当たりが無かった。
せやけどもしかしたら気付かへんうちに何か気に障ることをしてもうたのかもしれへん。
そう思ってくると考えへんようにしとった不安が一気に押し寄せてくる。
不安の渦に飲み込まれてしもうた私はこの場におる人達を困らせると分かっていても涙を止めることは出来へんかった。

「ご…ごめん……なさい…」

嗚咽混じりに謝罪を漏らすと、私に大丈夫と言ってくれる様に白石先輩の手が私の頭を優しく撫でる。

「急に触って堪忍な」

白石先輩にそう言われて私は首を左右に振る。
嫌ではなかった。先輩にそこまでさせてしもた自身への嫌悪は押し寄せてきたが先輩が妹のように優しくしてくれるのはとても有難かった。
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