第3章 【優しく積もる淡い恋】千石清純
「【夢主名字】さん、俺さ、キミのこと好きなんだ。昔から…いや、今のほうが好きかな」
「いいの?」
「ん?何が?」
「だって私、千石くんに好かれる様なこと何もしてないし、そもそも千石くんの事、色眼鏡で見てたような人だよ?」
「普通そういう事、正直に言わないよね?昔から【夢主名字】さんは正直で真っ直ぐで素敵な子だったよ」
私の言葉に千石くんが優しく微笑んでそう話してくれる。
その言葉が何よりも嬉しかった。
だから私も勇気を出して自分の気持ちを伝えようと少し勢い余って前のめりになりながら話してしまう。
「あ、ありがとう。その…私も千石くんの事、好きなの。だから――きゃっ」
「俺って凄くラッキーだわ、やっぱり」
私の言葉は最後まで紡がれることはなかった。
それは彼が私の手を握ったことで驚いてしまったからだった。
テーブルの上で握られた手が少し恥ずかしくて離してしまいたくなったけれど、私の手をもって凄く嬉しそうに千石くんが笑うから、私も微笑み返す。
そんな私を見てより一層、千石くんが嬉しそうに笑った。
彼と重なり合った手がこの先の未来でもずっとずっと一緒だと良いなと私は思ったのだった。
Fin.