第3章 【優しく積もる淡い恋】千石清純
「誤解してたの」
「え、誤解?」
「ごめんなさい」
「え、ちょ、ちょっと待って?俺、キミに謝られる様なことされてないよ?」
私が急に謝罪の言葉を述べてから頭を下げたので、彼は驚いた表情を一瞬見せてから慌てて私へのフォローを入れてくれ、頭を上げるように求められたので私は下げていた頭をあげる。
驚いた表情をしたのは一瞬だったけれど彼の動揺は多分まだ内心あるのだろうと思える複雑な表情で私を見ているから私は千石くんを落ち着かせるように落ち着いたトーンで話を再開させた。
「うん…。これは自己満足な謝罪なの」
「自己満足?」
私が告げると不思議そうな表情で私を見る千石くんが目に入る。
本心を告げてしまうことが怖いと無意識に思ったのか、私は自分のスカートをギュッとつまみ、そして少しだけ息を吐いてから彼に告げた。
「私、中学の時に千石くんの事、色眼鏡で見てた。女の子なら誰でも声かけるし」
「あ…あぁ、そういう事ね」
私の続けた言葉を聞いて少しだけ納得した表情をし、苦笑する。
本人も自覚があったのか「そういう風に思っちゃうのは仕方ないんじゃないかな?」と言い、苦笑した表情で彼は私を見ていた。
「でも、千石くんって別に女の子だけ特別じゃないんだなって」
「え?いや、別に俺は男に走る趣味はないけど」
「それは分かってるよ!?」
「だ、だよね?」
慌てて否定する千石くんに対して私も慌てて訂正をする。
さすがの私もそんな風には思っていなかったけれども言い方が問題だったと内心反省をし、気を取り直して話を続けて問題ないか、千石くんを見ると彼は優しい表情で頷いてくれる。
あぁ、そういう所が素敵だな…と私は少し見とれてしまいつつも言葉を紡いだ。
「…でね、千石くんは女の子だけじゃなくて誰にでも優しいんだって。勿論女の子には更に優しいと思うけど。私も千石くんの優しさに救われたから凄く有難かったの。本当にありがとう」
「別に全員に優しいなんて事、ないけどね。俺は昔からキミにだけ……」
「え」
彼の言葉に驚いた声をあげると、千石くん自身も自分の口から出た言葉に驚いたのか焦る表情をしていた。
そんな表情の千石くんを初めて見るから驚いてしまう。