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テニ夢企画用

第3章 【優しく積もる淡い恋】千石清純


「あのね、【女性名字】さん。変な事聞いても良い?」
「ん?何?」

私は声が震えない様に力を入れて話す。
変な声じゃなかっただろうか?と変なことを気にしてしまう。
でも私からの言葉を待つ【女性名字】さんは特にそのことに触れないので私は気にせずに次の言葉を紡いだ。

「【女性名字】さんと千石くんって――」
「な!い!え、嘘。やだ。そう見えるの!?」
「う、うん」
「うわぁ…私のせいか。私のせいでうまく行ってないの!?」

私の聞きたい言葉を最後まで言わせてもらうことは出来なかった。
というよりも私の言葉を最後まで聞く前に何を言われるのか分かってしまったのであろう【女性名字】さんは顔面蒼白になりながら私に必死に否定の言葉を繰り返したのだった。
その様子を見て私は段々と毒気が抜けていき、彼女と千石くんの特別な関係性は恋人という枠ではないことがわかり私は1人安堵の息をはく。

「あのね、私ちゃんと彼氏いるし。なんなら千石も知り合いだし、そもそも私がその彼と付き合えたの千石のおかげだし!」
「ふふ」
「え」
「ご、ごめんなさい、笑ったりして。なんだかおかしくなってきちゃって」

私は彼女の必死な形相に1人で勝手に笑いだしてしまう。
別に彼女がおかしいとかそういうわけではないのだ。
ただ私のバカみたいな考えは勘違いだとわかり、力が抜けてしまい何だか自身に対して馬鹿馬鹿しく思えてしまった。
肩を震わせ俯いて笑う私にきっと【女性名字】さんは困っているだろう。
早く笑いを止めたいのに中々止んでくれなかった。
悪いとは思ったけれど、私の笑いが一段落するまで【女性名字】さんは静かに待っていてくれたのだった。
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