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テニ夢企画用

第3章 【優しく積もる淡い恋】千石清純


チラリと横目で隣に座る千石くんを見る。
真剣な眼差しで、講義を聞いている千石くんの横顔は確かにかっこいいと思えた。
普段のふにゃりと笑うのも別に悪いわけではないけれど、昔の印象がいまいち拭えずにいたから…酷いとは思っていても心の底まで信用しきれないでいた。
誰彼構わずに声をかけているわけではないというのは分かったけれど、基本的に女性に優しい彼のことだから、きっと私も優しくしてもらえている大勢の中の1人だろうと思っていた。
特別だなんて思えない私は彼からの優しさは私だけのものではないと分かっていた。
それに彼には――と、そんな風な事ばかり考えてしまう自身に小さくため息をついてから意識を講義へと集中させるのだった――。


***


「あ!【夢主名字】さん!」
「【女性名字】さん」

ある日、構内を歩いていると【女性名字】さんと出くわす。
いつも彼女の周りにはたくさんの人で溢れているのに今日は珍しく1人だった。
どうかしたのだろうか?と考えているうちに彼女は綺麗な笑顔を私に見せてから駆け寄ってきてくれる。
遠くから見ても綺麗な人だなと感心してしまう。
彼女は性格も気さくな人だから常に人が周りにいる様な人だから少しだけ緊張してしまう。

「ねぇ、もし良かったらこれから千石のとこ行かない?」
「え?」
「何か珍しく試合形式でテニスするらしくてさ。無理にとは言わないけど」

彼女の真意がつかめなかった。
てっきり【女性名字】さんは千石くんの事が好き…というか二人は付き合っているのだと思っていたのだけれど違うのだろうか?
彼女が自身の恋人と親しくしている女性を誘うものなのだろうか?…というか、私は何故こんな事を気にしているのだろうか。
こんなのまるで――と、気付いてしまい首を軽く左右に振る。
変に意識してしまっているのは良くないと思い私は「じゃあ、お言葉に甘えて」と一緒に行かせてもらうことにする。
【女性名字】さんがその返事を聞いて何故か嬉しそうに微笑むから私の心の中では疑問が消えること無くモヤモヤと残り続けていたのだった。

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