第2章 【人気者の君に妬く】丸井ブン太
「で、用事って?」
不細工な顔をブン太に見られたくなくて私は咄嗟に俯いた。
しかも可愛らしくもない無愛想な言葉をブン太にぶつける。
あーぁ、可愛くないなと内心1人で落ち込んだ。
「謝りに来た」
「え」
思ってもみなかったブン太の台詞に驚いて私は顔を上げる。
目が合ったブン太は私の事を真剣な眼差して見つめていた。
その表情に私は思わず息をのむ。
ブン太の真剣な瞳が私を射抜いて離さなかったからだ。
そんな私の焦りをよそにブン太は言葉を続ける。
「そのさ…悪かった。マジだっせぇよな。自分の気持ち優先してお前の事ちゃんと考えられなかったとか」
ブン太の口から紡がれていく言葉に驚いてしまって私は自分の酷い顔を見られたくなかったことも忘れてしまい、ジッと見つめてしまった。
こんな酷い顔の私を見てもブン太は一切笑わなかった。
むしろ手をソッと目元近くに添えて真剣な声音で呟く様に言葉を放った。
「自惚れた言い方していいか?…俺のせいだろぃ?」
「……」
私は何も返事が出来なかった。
ブン太の真剣な声音に正直に答えたかった。
でもそれを答えるとなると今までずっと隠していた恋心も告げなければいけない。
その勇気は今の私には無かった。
私の無言を肯定と受け取ったのかブン太は小さな声でまた「悪ぃ」と小さく謝る。
ブン太にそこまで謝られてしまって私は首を左右に振った。
ブン太は悪くないのに…私が勝手に傷ついて勝手に泣いてただけなのに、なんでそんなに優しいのだろうか…。
勘違いしてしまいそうになる。
ブン太に触れられた頬が熱い。
手から私の気持ちが伝わってしまいそうで怖い。
でも言ってしまいたくもなる。
ずっと長い間隠してきた気持ちが彼に触れられた頬から溢れ出してしまいそうだ。
「……好きなの。だから……あ」
口から自然と気持ちを紡いでしまった瞬間に私は慌てて口を閉じた。
言うつもりなんて無かったのに……なんで…と困惑したが、きっとブン太に優しく頬に触れられたせいだと思った。
今まで隣にずっと一緒にいて、悪友の様な同性の友達のような関係を続けてきたから急にこんな風に女の子扱いをされて勘違いしてしまったのだ。