第2章 【人気者の君に妬く】丸井ブン太
「ひっどい顔」
翌朝私は洗面所の鏡の前でそう独り言を放つ。
本当に酷い顔だった。
目は充血してるし、瞼も腫れてる。
目の下は隈が出来てる。
とてつもない不細工な顔した自分が鏡に写っていた。
この酷い顔の原因は、昨日ブン太に言われたあの言葉が頭から離れてくれず、ずっと布団をかぶって泣いてたせいだった。
泣いていたはずなのに、いつの間にか寝ていたらしく気が付いたらもうお昼だった。
今日が休みの日でしかも部活も休みで助かったと心底思った。
まぁ、そのせいでこんな時間まで寝てしまっていたのだけれどとも思った。
洗面所から出てリビングに意を決して入ればもうお昼で家の中は誰もいなかった。
おかげでこんな不細工な顔を見られずに済んだのも良かったなと思いながらリビングへ行くと机の上に書き置きがある。
メモを読めば父親は仕事、母親は用事で出かけるとある。
昼ごはんは冷蔵にあると書かれていたので私は冷蔵庫をあけてお昼を取り出す。
食べながら何か家の事をした方が良いのかなと思ったその瞬間に家のインターホンが鳴った。
無視してしまおうかとも思ったが何か急用とかではまずいと思い私はインターホンを取りに移動した。
「はい」
私がそう答えると暫く外側が無言でサーッという砂嵐の様な機械音と風の音だけが耳に響く。
ピンポンダッシュ的な悪戯かと思ってもう1度私が「あの?」と告げると、向こう側から声がした。
「【夢主名前】ちゃん」
名前を呼ばれて私は驚いた。
声の主がブン太の小さい方の弟くんだったからだ。
何かあったのだろうかと1人で勝手に心配してしまう。