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テニ夢企画用

第2章 【人気者の君に妬く】丸井ブン太


「…あのさ、幸村くんと付き合ってるって嘘だろぃ?」
「それ、本気で聞いてるの?」

口に出してからしまったと思った。
俺の目の前に座っている【夢主名前】を見れば、真顔で俺を見ていた。
その表情は今までの長い付き合いの中で初めて見るものだった。

「ブン太にだけは信じて欲しくなかった」

そう言って【夢主名前】が静かに涙を流す。
こいつの泣き顔を見たのなんていつぶりだろうかと現実逃避をしかける。

「そんなわけないじゃん…。私…幸村くんの事は仲間としか思ってないし彼もそうだよ」

そう言って【夢主名前】は黙り込んだ。
ギュッと口を結んでいるのはこれ以上、涙を流すまいという強い意志の様にも思えた。

互いに何を言って良いのか分からずただただ静かな時間が流れる。
ほんの数分の事のはずなのに、何時間も経ったかの様に錯覚するほどの時間を感じていた。
そんな静寂を先に破ったのは【夢主名前】の方だった。

「…ごめん、先に帰る」

何とか絞り出した震えた声に俺は何も言えなかった。
ガタンと立ち上がって荷物を纏めて着替えもせずにジャージのままで部室を後にする【夢主名前】を俺は引き止める事が出来なかった。
引き止めて何か話しても、何を言っても【夢主名前】を傷付けてしまいそうだと思ったからだ。
それぐらい今の俺は狼狽えていた。

「……かっこわる」

誰もいない部室で俺は1人呟く。
俺の言葉は誰に聞かれる事もなく夕暮れの日差しが入る部室の中に消えていったのだった――。


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