第2章 【人気者の君に妬く】丸井ブン太
いつも通り朝練を終えた俺はこの日、クラスまで来てみればいつもと違う雰囲気を感じて困惑していた。
なんか妙に視線を感じると言うか、若干いつもよりザワザワしているというか…なんとも言えない空気感を俺は感じていた。
そう思って席に着くなり変な事を聞かれてしまい俺はここ最近で1番驚く事となった。
「ブン太、【夢主名字】が幸村と付き合ってるって本当なのかよ?」
「……は?」
そんな事をクラスメイトに聞かれて俺は驚かされた。
普段なら「馬鹿言うなよ」って返せるのに、【夢主名前】の相手が幸村くんと聞いて一瞬反応に遅れる。
だっせぇと内心思った。
「いや、聞いてねぇけど?何か噂でもあんのかよ?」
「俺も人伝に聞いた話だからよくわかんねぇわ。ブン太なら幼馴染だし知ってるかと思って」
そいつの返事に対して「ふーん」とだけ答えて俺は鞄からノートを取り出す。
俺が授業の準備をしているのに、まだ話足りないのか、そいつはまだ登校してきてない俺の前の席のやつの椅子に座って俺に話しかけてくる。
「【夢主名字】と幸村がかー」
「まだ本当にそうだって決まってねぇだろぃ」
俺がそう返すとクラスの奴は「意外と隠れてそうだっかもしんねぇじゃん」って答える。
いくつか反論してみたがお調子者のクラスメイトはまるでゴシップ記事が大好きなおばさんの様に色々と好き勝手話してくる。
それを聞いて俺はウンザリした。
適当に相槌を打つ俺の事は一切気にしてない様で延々に持論を話してくる姿に俺はため息をついた。
話を適当に聞きながら、幸村くんと【夢主名前】が?…そんな話し一切聞いてねぇと思った。
【夢主名前】が何回か告白されたと噂で聞いた事があったがいつも断っていると聞いていた。
断り文句の「部活に専念したいから今は考えられない」はてっきり体のいい断り方だと思ってた。
もしかして本当に幸村くんの事が好きでそれをバレたくなくてそう言ってたって事かよ…と絶句する。