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テニ夢企画用

第2章 【人気者の君に妬く】丸井ブン太


彼女は私の席の前まで来ると私の腕を掴んで引っ張る。
座ろうとしていた姿勢から急に引っ張られて自分の机に足をぶつけて痛かったが彼女はお構いなしだった。
その強引さに何かあったのかと驚いてしまう。

「ど、どうしたの?」
「どうしたの?じゃないよ!何か変な噂出回ってるじゃん!とりあえず2人で話そ」

そう言って彼女に引っ張られて私は教室を後にする。
HRは出なくて良いのかと話しかければ「そんな事より【夢主名前】の問題の方が先!」と言い切られてしまい笑ってしまった。
友達思いの彼女の優しさに感謝して私はそのまま彼女の後ろを歩いた。

廊下を歩いていると、そろそろHRも始まるという時間なのに結構な人がいた。
人混みは私達を見ると道を開けてくれるので助かったが私を見る好奇的な視線はやはりいくつか混ざっていて私はうんざりしながら廊下を歩いて何処かへと向かったのだった。

***

「はぁ」
「参っとるようじゃの」
「仁王くんか」

誰もいないと思ってため息をついたのに先客がいたようで話しかけられる。
彼は何時も通りに読めない表情で私を見ていた。

結局あれから、【友人名前】ちゃんと色々と話したけれどどれも解決の糸口には繋がらなかった。
何度か今朝の様に質問されれば否定をする、それの繰り返しだ。
直接聞いてくれる様な子の対応は楽で、そうじゃない方が厄介だった。
好奇心や勝手な嫉妬心なんかでジロジロと見られてはたまったものではない。

疲れて昼休みの終わりに誰もいないと思っていた屋上にやってきてみれば意外と仁王くんがいた事には驚いてしまった。
でも彼ならあの変な噂の事を信じ込む様な人ではないので、その点は良かったと思った。

「そっちのクラスにまで噂回ってる?」
「そうさなぁ。うちのクラスというより学校全体じゃないかのぅ?」
「最悪」

そう言って私は苦笑する。
そりゃあ何度も人に聞かれるわけだと妙に納得した。
幸村くん人気あるしなとも思ったけれど。
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