第2章 【人気者の君に妬く】丸井ブン太
「…あ」
そして放課後になって制服のポケットに再び手を入れて私は朝の紙切れの事を思い出した。
ポケットに手を突っ込んだら、ぐしゃりと紙と手がぶつかったので私は慌ててその紙切れを取り出した。
「ん?どうかしたの?」
「なんか今朝変な呼び出しの紙あってさ。忘れてたなって」
「何それ」
私が手にした紙切れを【友人名前】ちゃんが覗き込んだ。
そして少し考えてから彼女は私に意見を述べる。
「行かなくて良いんじゃない?」
「でもファンの子だったら可哀相だし行くよ」
私のせいで少しグシャグシャになってしまった紙切れを見て、【友人名前】ちゃんはそう言う。
確かにちゃんとした手紙でもないし、悪戯の可能性はある。
でももしかしたら誰にも知られたくないシャイな女の子が急いで書いた可能性だってある。
そう思って私は部活の前に一応指定された場所へ行こうと思った。
その事を告げる為に教室内を見渡したが生憎幸村くんは既にいなかった。
「ごめん、【友人名前】ちゃん。幸村くん見かけたら少し寄るとこあるから部活遅れるって言っておいて」
私がそう頼むと彼女は「了解」と返事をして手をあげる。
いつの間にか彼女の目線は携帯に向いていた。
きっと最近ハマっているという対戦ゲームか、または彼氏からの連絡を待って眺めているのだろう。
私は特に彼女の行動には気にもとめず、校舎裏まで小走りで廊下を駆け抜けた。
私は急いで行って用件を聞いて部活に出れば問題ないよねとこの時は甘く考えていた。
この時の判断を私は数十分後に後悔する事になるのだった。
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