第2章 【人気者の君に妬く】丸井ブン太
あいつはよく俺宛の差し入れを渡す時に『人気者だね』なんて茶化して言うけど、お前の方が人気者だろぃと口から出かかった事が今まで何度もあった。
でもそれを言ってしまうのは何だか癪で俺は【夢主名前】からの差し入れを受け取りながら『当然だろぃ』なんて茶化して言う。
それが俺らの日常。俺の変わりない日々だと思っていた。
俺の隣にはあいつがいて、あいつの隣には俺がいる。
そんな幼少期からの関係が崩れる事なんて無いと思っていた。
恋愛感情があろうが無かろうが俺らは何だかんだお互いを思い合ってると思っていたと俺は勝手に思っていた。
まぁ…俺自身は昔から【夢主名前】の事が好きなんだけど、今の関係が崩れる方が嫌でそんな素振りを一切見せてないけどな。
そんな状態がだせぇなと思う時もあるけど、恋愛なんて不確定要素だからけだから本気で好きだからこそ俺は今の関係から踏み出すチャンスを伺いつつも踏み出せないでいた。
今日も【夢主名前】は誰かと笑って、その笑顔を見せて誰かの心を掴んでるんじゃないかと勝手に思って勝手に見もしない相手に妬く。
かっこ悪い俺を知られたくなくて俺は今日も何でもないふりをする。
それが俺の日常だった――。
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