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テニ夢企画用

第1章 【見えない角度で手を握り締め】財前光


「…不安にさせて悪い。それと……この間もガキっぽい事して勝手に帰って悪い」

財前くんが真剣な眼差しで私に謝罪の言葉を述べていく。
驚いてしまって私は何も言えずに彼の言葉が紡がれるのをただ聞ぃとった。

「あー…何ていうかカッコ悪い事言うと、何も言ってもらえへんで何か嫌やった」
「え!?」
「……【夢主名前】のことたくさん知ってたいと思ったら、あの時に何考えてたか教えてもらえなくて嫌やった」

財前くんが物凄く不服そうな表情で私に正直な言葉を告げてくれる。
私は彼の怒っとった原因が予想外のもんで驚いてしまう。
あのクールで落ち着いとる財前くんが?と戸惑ってしまう。

せやけど今私の目の前におる彼は凄く不服そうに私を見とった。
ほんまはかっこ悪いから言いたくなかったのだという言葉に嘘はない様に思えた。
せやから私もちゃんと言わへんとと思った。

「その…私があの時に考えてたの…財前くんの事で…」
「は……?……なんやそれ…俺カッコ悪」

私の正直な答えに財前くんが絶句しとった。
そして私が今まで見たことない表情で落ち込んどる。
こないな表情の財前くん珍しい…と驚いてしもた。
せやけど驚いてばかりではいられへん。彼がきちんと思いを告げてくれたのやから私もきちんと思っとった事を告げなければと言葉を続ける。

「今のままの財前くんが好きなんやけどね…その、ちゃんと好意を言われた事ない気がして…勝手に1人で不安になってもうて…」

私は謝罪の為に頭を下げる。

「こういった話し、財前くんからしたらウザいやろうなと思って…その、それで今まで言えなくて。あの日もその事考えてたの」

俯いたままでいるから彼の表情は分からへん。
声も少し震える。
財前くんはあまりこういった女々しい感情、好きじゃなさそうと思ったから。
本心を告げてしまうのが怖かった。
せやけど向き合えへんままでずっと一緒におるのは無理やと思ったから…私は正直に告げた。
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