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テニ夢企画用

第1章 【見えない角度で手を握り締め】財前光


委員会の集まりは既にちらほらと人が集合しとったけれど全員は揃っとらん様で遅刻したわけやないと安心した。
何処に座ろうかと悩んどると、財前くんが私の腕を掴んで歩き出す。
急に腕を引っ張られて驚いてしもうたが、彼に触れられた腕が熱い。

私の顔も熱くなるのが分かる。
きっと他の人が見ても真っ赤になっとるのやろう。
財前くんからしたら同じクラスの委員同士は隣で座るのが恒例やからいい席に座りたいだけで私を引っ張っただけなのだと頭では分かっていても嬉しくなってしまう自分にわろてしまう。

財前くんは窓際の1番後ろといういい席を見つけたようで着席する。
私も慌てて一緒に隣の席に座ると、掴まれとった手は離されてしまい寂しく思った。
掴まれとった腕だけに彼の感触がまだ残っていて私は暫くの間、その感触が消えんといて欲しいと願った――。

「…」

座ってから暫くすると全学年の委員が揃いきったので、3年生の委員長が司会をしながら委員会の集まりは滞りなく進行されていった。
私はメモを取りながら話を聞く。
基本的には当番の変更がない事や、図書習慣の今後の話などあまり前回と代わり映えしぃひん話を聞く。
少ししんどいなと思い、左腕をノートを押さえつけてとったのから解放する。
大々的に背伸びは出来へんから机の上に乗せとった左腕を下へと伸ばす。

すると、伸ばした手をギュッと掴まれて驚いてしまう。
何事かと下を見れば私の手に財前くんの右手が恋人つなぎで握り締められとった。
驚いて左隣に座っとる財前くんを見ればすまし顔で、肘をついとる左手に顔を乗せて黒板を見とる。

財前くんは何事もないですよと言っとるような表情のままジッと黒板を見とった。
何でそないにもクールな表情のままでいられるのか不思議で仕方がない。
彼は照れへんのやろうか?
私はギュッと握りしめられた手から伝わる体温にドキドキして仕方がないのに…。
私はこないな状態のままで平常心でいられへんから、俯いて先生や委員長の話をメモする事に必死になるしかなかった。
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