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「今年より」「春雨は」「旅人の」

第1章 桜の想い出


その夜、自室で書き物をしていた松陽は、雨音に気付き顔をあげた。
「おや、いけませんね」
そう言って立ち上がり、傘を手にして庭へと出る。
春の宵闇の中、迷うことなく桜の苗木へ向かうと、その木に傘を立て掛けた。
「すぐに散ってしまっては、あの子達が寂しがりますからね。大きく育って下さい。大人になったあの子達と、花見がしたいのです」
話しかけられた桜の木は、風の無い夜なのに少し、揺れたように見えた。
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