【JOJO・アヴドゥル夢※R18】先生と一緒に【現パロ】
第8章 これ以上焦らすんじゃあない
「……!」
姫は、トイレに行ってきますねと笑顔で言って、立ち去ってしまう。
私は、ひどく罪悪感に襲われた。あの子なら、もしかしたら夜のことをダシに、更に私と関係を深めようとしてくるのでは思っていた。それでも良いと思っていた。
だが、彼女は私にされたことを無かったことにしてくれた。
「(やはり、帰った方が良いだろうか……)」
私達は教師と生徒なんだ。
私はトイレの前に行って彼女に声をかけようとした。
その時、聞こえたのは鼻をすする音。
小さく、嗚咽も聞こえた。
「……………………ッ!!!!」
動かずにはいられなかった。私は、トイレのドアを壊すように開け放つ。
「きゃ!!?」
驚きの声を上げる姫は、蓋を閉じた便器の上にちょこんと座っていた。
目は真っ赤になっていて、ポロポロと涙を流している。
「こんなので……帰られるか…………ッ」
私は姫の腕を掴み、ぐいっと抱き寄せた。
「すまない。覚えているんだ……ッ」
彼女の小さい体をぎゅうっと抱きしめた。
「え…………?」
姫が私を見上げて目を丸くさせる。
私も、もう自分を誤魔化せないだろう。
マジシャンズレッドを飲みまくって魂抜かれて、自然に姫のアパートに向かってしまっていた。
私は、どれだけ周りが見えなくなっている?
最近は、この子のことばかりを考えてしまっている。
この子は私が欲しいと言った。
ああ、いい加減に私も認めなくては……。
「覚えてるん……ですか……?」
「ああ。君に言われるまでは忘れていたがな」
そう言うと、私は彼女の顎をくいっと持ち上げる。姫の顔は目視でわかるくらいボッと真っ赤になった。
……私は本当の意味で一線を越えようとしている。
たった1週間で、自分でも驚くほど彼女に落ちてしまっている。
「私も、……姫が欲しいんだ」
…………と言った途端、私の顔もボッと赤くなった。急に恥ずかしさが込み上げてくる。こんなセリフ女性に言ったこと一度もない。
マライアに言われた「いい人止まり」
今まで何人か女性とお付き合いしたことはあるが、確かにつまらない男だったかもしれない。
姫という女性に対して、本当の私というものをぶつける……。全てが初めてだ。
これからは、誰にも言えない、2人だけの関係となる。