【JOJO・アヴドゥル夢※R18】先生と一緒に【現パロ】
第1章 これは事故だ
「不真面目な生徒だ」と思ったが、教育心理学も発達心理学IIもカウンセリングの分野全てしっかり綺麗な字で全て解かれていた。再試も満点だった。思い起こせば出席率も良いし、授業も真面目に聞いている様子……。
「(最初からこうすれば呼び出されることも無かっただろうに。おかしな奴だな)」
顔を上げて、もう帰っていいぞと声をかけようとした時だった。
……姫の顔が目の前にあった。
数ミリと離れてないゼロ距離で。
唇に柔らかい感触を感じて、数秒経ってから、ようやく「キスされている」ことにアヴドゥルは気付いた。子供のように小柄なのに、彼の逞しい腕にしっかりと柔らかな胸が当たっている。
ドクン、と心臓が跳ね上がり、彼は椅子ごとガタンと後方へ後ずさった。
声も出せないでいると、姫は「あ……」
と声を出し、切なげな表情をした。
「お前……」
信じられないといった顔のアヴドゥルは、何も言わず、無言で彼女を研究室から追い出した……。
その後、またアヴドゥルは椅子に座り直し、PCに向かったが……腕と手が震えていることに気がついた。ぞくりと何かが這い上がるような感覚が、今日イチ信じられなかった。
「これは事故だ……」
片手で頭を抱え、そう言い聞かせることにした。
○
最近の子は何を考えているのか分からない、とアヴドゥルは考える。昨日のような「単位をくれ」と騒ぎ散らしている子の方が、まだマトモかもしれない。
彼は今日も変わらず教鞭を振るう。
そして研究室で資料を作ったり、生徒の成績やらを管理する。
事務員のポルナレフから「あの子が可愛い」だの「2階のトイレは汚い」だのと興味のない話を聞く日常。
なんら変わらない。
あの女子生徒が研究室に来る以外は。
ノックの後に返事すると、ゆっくりドアが開いた。
「先生……」
アヴドゥルは目を見開いたあと、平静を装って「何だ」と睨みつけるようにして言った。彼女はビクリと肩を少し跳ねさせ、おずおずとプリントを1枚出してきた。
「昨日全部出したんじゃなかったのか?」
「あ……いいえ…………1枚、出してないのがあって」