【JOJO・アヴドゥル夢※R18】先生と一緒に【現パロ】
第4章 何も知らない
「お、お二人様……」
「いや、違う!」私はマライアの腕を力いっぱい振りほどき言った。「後でもう1人来る」
「……ねぇ、私タバコ吸いたいのよ。喫煙席にしてちょうだい」
「かしこまりました……」
姫が席へと案内し始めた。
店内は、ほとんどの席が埋まっている。
さすが、華金って感じだ。
この店内で、私ほど難しい顔をしている者はいないだろう。
マライアと向かい合いで座り、姫はぺこりと頭を下げた。「失礼いたします」と、立ち去ろうとした時、マライアが彼女に声をかけた。
「アヴドゥルの所の学生さん?」
「っ……あ、はい……」
「ふ〜ん…………とりあえず、大盛りポテトフライ1つね」
「かしこまりました……」
姫は、ちらりと私を見ると、逃げるように去って行ってしまった。なぜか心が「ちくり」とした。
マライアは早速、タバコに火をつけて「ふーっ」と白い煙を吐いた。
「タバコ吸えるしファミレスで正解だったかも。学校も、洒落た店も、今は基本禁煙だもの」と、ふふっと笑う。
……マライアは鋭い女だ。姫の様子と私の様子で、絶対に何か勘づいているにちがいない。冷や汗を流しながら言った。「そうだな」
「さっきの子、コレ?」
「は?」
マライアはニヤリと笑って小指を立てた。
来た! やっぱり聞かれた! 私は平静を装って「違う」と答えたつもりだったが、内心動揺しまくっているのはお見通しな様子の彼女だ。
ああ、私は隠し事が下手だ。
承太郎みたいに冷静でもないし、ジョースターさんみたいにしたたかでもない。
それでも何とか「あの子はただの生徒だ」と繰り返した。それは確かに違いないのだから。
「熱くなってるところがまた怪しいけど……ふ〜ん……まぁ、上手くやりなさいよ」
「だっ、だから違うと何度も……!」
このまま、この店で過ごすと思うといたたまれない。しかし、他の店は空いてないし、ここで過ごす他ない。……数分で注文の品が届いたが、運んできたのは別の店員だった。
その店員が、ポテトフライを置いた後、私たちに声をかけた。
「姫さんの大学の先生なんですね」
「あ、ああ……」
「私は違うわよ」マライアはタバコを灰皿に潰して、ポテトを1本取った。