第1章 【アヴドゥル】気になってしょうがないんだ……!
アヴドゥルは、生唾を飲み込んだ。
「私のことが……好きなのか?」
「…………っ!」
は目を伏せたまま、しばらく黙っていた。時折、何か声を出そうとしていたが。
そして、月明かりが彼女の顔を照らしだした頃、ようやく真っ赤な顔で。
「……はい」
と呟いた。
彼女はその場から走り去ろうとしたが、今回は逃げられず、アヴドゥルに腕を掴まれてしまう。
そのまま後ろからを抱きしめた。
「あ、アヴドゥルさん!?」
「ようやくわかった。ああ、私は嬉しい……」
「……え?」
抱きしめる腕に力が入る。
「こんなにも晴れやかな気持ちなのだ。仲間への醜い気持ちも無くなった。これでようやく分かった……!」
息を吸い込み、彼は言った。
「私も、が好きなんだ!!」
「へ……!?」
こうだったらいいのにな、と思っていたことが本当になった。信じられるだろうか……。そして、あまりのアヴドゥルのテンションの上がりっぷりに本物なのか疑ってしまうほどだった。
「今までこの醜い感情は何なんだと思っていたんだ。嫉妬だよ嫉妬! ああ……分かってよかった……!」
「!?!?」
が全てを知るのは、その後ジョセフたちの部屋に行ってからだった。
「普通さァ……普通、自分が恋してる時って、普通にわかるだろ?」
「あまり普通普通連呼しないでくれポルナレフ。私が普通のやつでは無いみたいじゃないか!」
「いやいやいやいや!!普通じゃねーよ!! 」
ポルナレフがゲテモノを見るような目で、ソファに座るアヴドゥルを見下ろす。
「僕が思うに、恋占いで他人の色恋ばかり聞いて考えて占って……結果、自分自身の色恋については考える暇もなくて……に恋をしたこと自体に気づけなかったんではないでしょうか」
花京院の考察にジョセフは頭をぽりぽりかいた。
「理解出来ん。よー分からんのォ」
「やれやれだぜ」