第3章 【アヴドゥル】もしかして私たち入れ替わってる!?
それでも、女としては扱ってくれないみたいだ、アヴドゥルは。
「今日も、女と思わないって……言われた…………うっ……く……出会った頃から……やりなおしたいよ。ちゃんと女の子らしくして……うぅ……アヴドゥルにちゃんと……女として見られたいよ」
ジョースターさんとの毎晩の反省会は、泣いてばかりだ。
「その涙は女しか流せない。は誰よりも女だ。ワシがよく分かっとる」
ジョースターさんは、いつもいつも慰めてくれた。そしてアドバイスをしてくれた。
でも、アヴドゥルの前だとつっぱっちゃって……オレは、いつまでこんな堂々巡りをするつもりなんだろう。
いや、私と言うべきなのかな。
○
ホテルに着いた時、朝食はホテルバイキングである事を思い出してオレはいてもたってもいられなかった。こんなご馳走、暫くはありつけない。
荒野から戻る間、いつも口うるさいアヴドゥルが何も言わないから変な気分だ。いつもは、朝から晩まで行動や口調やら注意してくるというのに。
そんな無言のアヴドゥルとバイキングの会場に入ると、ジョースターさんに呼び止められた。
「おはよう、」
「ジョースターさん、おはよう!」
彼はオレに歩み寄ると、手提げバックを渡してきた。
これは部屋に置いてあったやつだ。パンダのイラストがプリントされていて可愛いし、お気に入りだからいつも持ち歩いていた。アヴドゥルと入れ替わっている間は持ち歩けなかったから、心細かったんだ。
でも、ジョースターさんがなぜ持っているんだ……?
わざわざ部屋に置いてあるのを持ってきてくれたのか?
「昨晩、ワシの部屋に忘れて行っただろう? 電話したんじゃが……やはり体調不良だったか?」
「え? さ、昨晩……?」
オレはゾッとした。今想像していることが、嘘だと思いたい。
恐る恐る振り返って背後に立っているアヴドゥルを見上げた。
目が合うと、彼は「あ……」と声を漏らすと、目が泳いでいた。
「ジョースターさんに会うなって言ったんじゃん……」
オレは俯いて、その場から逃げ出した。
○
私は、昨日の出来事をジョースターさんに全て話した。彼は、難しい顔をして片手で頭を抱えた。突拍子も無い話だったが、昨日のの様子……つまり、私が入れ替わったあの子の様子を思い出してか納得はしてくれた。