第3章 【アヴドゥル】もしかして私たち入れ替わってる!?
「元に戻ったな」
私は、安心したようにため息をついた。
途端、足がガクっと崩れ落ちる。たった一晩の入れ替わりだと言うのに、自分の体に戻ると、すぐには上手く動かせなかった。も同じなようで、その場に座り込んだ。
「慣れ親しんだ体に戻ってんのに……こう言うのもオカシーけど、慣れるまでは少し休もうぜ」
「ああ」
は腕時計を見ながら「6時半かぁ」と呟いている。……私は、ずっと彼女の姿を眺めていた。
彼女は、しばらくしてその視線に気付いたのか「なっなんだよ」と顔を赤くした。
そして、「ん!?」と自分の胸をぺたぺたと確認するように触った。途端に、さらに真っ赤になる。
「ちょっ、おま……バカ! ノーブラじゃあねぇか!!」
「あ……」
思わず私も顔が赤くなってしまった。
「す、すまない」
「素直に謝るとか、ちょーし狂うなぁ」
は、ははっと笑ってゆっくり立ち上がった。
私達は、晴れて元の体に戻り、無事ホテルに帰還したのだった。
ジョースターさんに会ったら、この件は報告しておくべきなんだろう。だが、あえて言わない方がいいかもしれない。のために。
○
オレの名前は、。オレっていっても、ちゃんと成人した女性だ。
生まれつきスタンド使いだったオレを両親が気味悪がり、オレは捨てられてしまった。
いつの頃からか、ニューヨークのスラム街で生きるようになった。
この男のような口調も、舐められないようにするってのもあったし、強く生きてなきゃ、一寸先は闇だ。
ニューヨークは人も多いし、食べ物にも困らなかった。何より、同じスタンド使いのイギーと出会えたことが大きかった。喧嘩じゃ負けないし、オレはスラム街を牛耳るほど力をつけていた。
とある日、イギーと共に喧嘩三昧な日々を送っていると、妙な奴らが私たちの前に現れた。「すぴーどわごんざいだん」って名乗った。私たちを保護して、面倒を見たいのだと。スタンド使いの被検体として働く代わりに、金と生活する場所を提供してくれると。
美味しい話だけど、全力で断ったね!
今まで苦労して生活してきたんだ。誰かに縋って生きるなんてごめんだ。
だから、イギーと目一杯暴れてやった。
その時に現れたのがアヴドゥルだった。
はっきり言って、まったく歯が立たなかった。